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Victoria男・茂木が超劇的サヨナラ弾!PIECEが昨季3冠の戦極を逆転で下す!!
雲一つない快晴に恵まれた12月10日8時30分。明治神宮野球場で行われたスプリングカップ2022決勝戦、初日の第1試合を飾ったのは、「戦極-SENGOKU- × PIECE」である。
戦いの先攻は、2021年シーズンに3冠の偉業を達成し、もはやVictoriaで圧倒的な知名度を誇る戦極-SENGOKU-。「戦うことを極める」とチーム名の由来となったこの言葉を胸に2年連続の晴れ舞台で如何なる戦いを魅せるか注目が集まる。一方の後攻はスプリングカップ3連覇を目論むPIECEで、テニス部出身ながら強豪PIECEでスタメンを張る快速男の青野は試合前「Victoria SpringCup 3連覇という偉業達成に向けて全力を出し切ります!!」と力強いコメントを残した。
互いにVictoriaを代表する強豪チームが故にハイレベルな戦いが予想され熱い視線が送られる中、小松主審のプレイボールが神宮の杜に響きわたり、ゲームは初回から動き出した。 1回表、守備につくPIECEの先発は左腕の根本、伸びのある直球と緩い変化球で打者を手玉に取り、打たせて取るピッチングが持ち味だ。早めに主導権を握りたい戦極は、昨年のファイナルでもトップバッターを務めた杉浦が落ち着いた佇まいで右打席に入る。根本は初球緩い変化球でストライクを取るも、ファイナルオープニングゲームの独特な雰囲気に飲まれたか制球が安定せず、フォアボールで先頭を塁に出す。続く2番の関はフルカウントまで持ち込むも力のこもった直球にバットが空を切り、空振り三振で1アウト。ここで迎えたのは2021年Victoriaベスト9を獲得した3番の谷津。初球は高めに外れ1ボールからの2球目、ややアウトコースに外れた変化球に谷津は逆らわずレフト方向へ綺麗な流し打ちを魅せる。左翼線に飛んだ打球はワンバウンドでフェンスに当たる2塁打となり、1塁ランナーの杉浦は快速を飛ばし一気にホームを陥れ、クロスプレーになるも判定はセーフ。戦極は根本の立ち上がりを攻め立て、幸先よく1点を先制する。
初回から流れを呼び込んだ戦極は、昨季3部リーグでMVPを獲得した下野が先発のマウンドに送られた。対するPIECEは絶対的リードオフマンの桑原(南)が打席に立ち、桑原(南)はフルカウントまで追い込まれるも高めのボール球をセンター前に運び、こちらもノーアウトでランナーが出塁する。続く注目選手の2番青野は初球、意表を突くバスターでレフト前に運びノーアウト1,2塁とチャンスを拡大。ここで3番茂木の打席でPIECEベンチは揺さぶりを掛け、ピッチャー下野の前に茂木が上手くバントを転がすと、これを下野はファーストへ悪送球。その間にセカンドランナー桑原(南)がホームインし、PIECEはすぐさま同点に追いついた。その後もランナー1,3塁という大チャンスで4番の上島は2球目を引っ掛けるが、戦極の名手谷津がホームへまさかの暴投。PIECEが更に1点を追加し2-1と逆転に成功。序盤にこれ以上の得点を与えたくない戦極は、ここで下野が後続を抑え何とかこのピンチを切り抜け、味方の援護を待つ。 2回は両チーム無得点と落ち着きを見せ始めて迎えた3回表戦極の攻撃、ここで試合が再び動き出す。打順は先頭に還りトップバッターの杉浦が打席に向かい、杉浦はここでも冷静にボールを見極め一度もバットを振ることなくフォアボールを選ぶ。続く2番関は空振り三振に倒れ1アウトとなるも3番谷津の打席の初球、杉浦はスチールを成功させ1アウト2塁と得点圏にランナーを置く。PIECEの根本はここでも制球が安定せず、谷津に対してもフォアボールを許し、1アウト1,2塁とチャンスが拡大して迎えたのは4番の吉田。精神的優位な中で打席に向かった吉田は、慎重にボールを選び3-1から投じた根本の4球目、インコースのストレートを強引に引っ張ると、打球はぐんぐん伸びレフトスタンド中段へ運ぶ3ランホームラン。これ以上ない最高の形で4番が自らの仕事をきっちり果たし、戦極が4-2と再び試合の主導権を握った。
3回裏、戦極は先発の下野から佐久間にスイッチし継投策に出る。このまま黙っていられないPIECEの攻撃は、先頭の青野がサードゴロで倒れるも茂木がフォアボールを選び、続く上島はデッドボールで1アウト1,2塁とこの試合2度目の得点圏にランナーを置く。一方の戦極は制球の定まらない佐久間から酒井にスイッチし、打席に迎えるのはPIECE本木。カウント2-2から酒井のボークもあって、ランナーがそれぞれ進塁し1アウト2,3塁とチャンスは拡大。すると酒井が投じた5球目、ここで監督の柴はエンドランを仕掛けると、本木はボール球に必死に食らいつき、ホームベース前に高いバウンドが上がる。3塁ランナーは悠々セーフで1点を追加、更に2塁ランナーの上島が相手の隙を突きホームに突っ込み2人目のランナーが生還し、PIECEがノーヒットで2点を奪い、4-4とまたしても試合を振り出しに戻した。 序盤から両チーム点を奪っては追い付かれ、両者譲らぬガチンコ勝負は同点のまま中盤戦を迎える。PIECEは4回表に先発の根本から渡辺へスイッチしこちらも継投策に入った。しかし戦極打線は再びPIECEに襲い掛かり、1アウトから8番鈴木が内野安打で出塁。9番の酒井はきっちり送り、戦極は1番の杉浦に変わってピンチヒッターの日高を送る。ベンチの期待に何とか応えたい日高は渡辺が投じた3球目、アウトローの球を狙いすましたようにライトへ運び、浅めに守っていた白石(光)の頭上を越え打球は転々とフェンスまで転がり、セカンドランナーは悠々生還し5-4と逆転に成功。戦極は続く5回表にもバッテリーエラーの間に1点を奪い6-4と、中盤でゲームを2点差に広げた。
またしても追う展開となったPIECEは4回、5回とリリーフした戦極酒井から見せ場を作ることが出来ない。しかし6回裏、PIECEはノーアウト2塁の場面で坂東がタイムリーツーベースを放ち、5-6と1点差まで追い上げた。そして試合はいよいよ最終回へ突入し、最後はグランドの誰もが予想しなかった劇的なクライマックスを迎えることとなる。
7回表の戦極はクリーンナップから始まる好打順に対し、リズムよく攻撃に繋げたいPIECEは5回途中からリリーフした関根がこの回もマウンドに上がる。この日タイムリーを放っている3番谷津は2ボールから迎えた3球目、真ん中低めに入ったストレートを上手くすくい上げ、打球はライト後方へ。途中から変わった右翼手の進藤も懸命に追い掛けるが打球はライトスタンドに消え、追加点の欲しかった場面で谷津がベンチの期待に応える貴重なソロホームランを放った。
ラストの攻撃となったPIECEは先頭打者の9番白石(光)に変わって代打中路を送る。初球から積極的に打ちに行くが、この回もマウンドに上がる酒井のスライダーにバットが空を切り、空振り三振に倒れ1アウト。続く1番桑原はカウント2-2から体勢を崩されながらもサード頭上を越える打球を放ち、執念のレフト前ヒットで1アウトランナー1塁と勝利への執念を見せた。続く青野はカウント2-2からインコースの球を詰まらされるも打球は3塁ベース付近へ高く跳ね上がり、サード谷垣も懸命に2塁へ送球するがフィルダースチョイスで1アウト1,2塁とチャンス拡大。PIECEは長打で同点、1発が出ればサヨナラ逆転の場面を迎え、ここで打席に向かったのは天性の勝負強さを誇る3番の茂木。PIECEベンチもこの日一番の盛り上がりを見せ、バッターの茂木を鼓舞する。すると、カウント1ボールからの2球目。真ん中に入った甘い球をフルスイング、茂木は打った瞬間に確信歩きとガッツポーズ。打球は大歓声と共に青く染まった神宮のライトスタンドへ消える逆転サヨナラスリーランホームランとなり、8-7のルーズヴェルトゲームでこの試合は劇的な形で幕を閉じた。この結果PIECEは前人未到のスプリングカップ3連覇、そして草野球史上に残ると言っても過言ではない見事な激戦を演じてくれた。 ゲーム後、3連覇を果たしたPIECEの柴監督はインタビューに答え「こんな試合は始めて」と最後まで諦めずに戦い抜いたナインの雄姿に感銘を受けたのか若干言葉を詰まらせ、試合については「出るピッチャー全てが戦極打線に捕まり、とても苦しい試合だった」と厳しいゲームを冷静に振り返った。新シーズンの意気込みについては「4連覇という目標を掲げてやっていきます」と力強い言葉でインタビューを締め括った。更に文句なしのMVPに輝いた茂木はホームランの場面を振り返り「ビックリした」と打った本人も驚きを隠せず、「球場でホームランを打ったのが初めて」と自身初のスタンドインが神宮球場に加え劇的サヨナラスリーランと、この日の出来事は茂木にとっても人生のハイライトとなるだろう。 一方の敗れた戦極は、試合巧者でゲームを進めただけに最後は悔しさが残る内容となった。しかし敗れはしたが、この日も彼らの戦いぶりは見事なもので、2HRを放った攻撃陣と枚数豊富な投手陣を武器に来季もこの舞台へ勝ち上がって来てほしい。
【MVPインタビュー】#1 茂木 常禎
【監督インタビュー】#11 柴 大輔
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